2012年7月22日日曜日

夏の楽しみ「シャブリ」の季節


夏が来る。

ギラギラ光る太陽に、真っ青な空。
上昇する気温に反比例して、冷たいものを体が欲する。
キリリと冷えたシャンパーニュなんて最高だ。
グィッと飲めば瞬く間にクールダウンできる。

だが、シャンパーニュだけでは物足りない。
この夏を乗り切る為には、もうひとアイテム必要だ。

そう、体が欲している。キリッと引き締まった清涼感溢れる辛口の白。
そしてミネラルたっぷりのあのワイン。
やはり夏には『シャブリ』が欠かせない。

シャブリと言えば、真っ先にラブノーやヴァンサン・ドーヴィサの名前が出てくるだろう。
しかし我々は、もっと身近に素晴らしい造り手がいることを忘れてはいけない。

 『ダニエル・ダンプ』

ドメーヌは2つの著名な1級畑、ヴァイヨンとコート・ド・レシェの2つの丘に挟まれたシャブリ地区のミリー村に位置する。ミリー村で最も古い歴史と名声を誇ってきた伝統ある生産者だ。
所有する30ヘクタールの畑のうち、16ヘクタールが村名、14ヘクタールが1級畑である。
ダニエル・ダンプに1級畑を造らせれば、右に出る者はいないと言われる一目置かれた存在だ。





実は、幸運にも1990年の1級畑を飲む機会があった。
ダニエル・ダンプの熟成ワイン。なんとも貴重な体験だ。

率直に言おう。
ずばり、「素晴らしい」の一言に尽きる。

一定レベルを超えた質にだけ与えられる、
美しい熟成と未だに息づく酸、蜜のような味わい。   
熟成の可能性を大いに秘めた、偉大な作り手であるということを再確認させられる。

聞くところによると、2008年、2009年、2010年ヴィンテージには、
この1990年のような素晴らしい熟成ワインになり得る可能性が十分にあるという。

なるほど。
これはいい話を聞いた。
今のうちに手に入れておこう。是非ともケースで確保したい。

さて、熟成ワインはまたの楽しみにするとして、
暑い夏にはフレッシュなシャブリを頂こう。




輝くようなグリーンがかったゴールド。
そして、ライムや洋梨の柑橘系のアロマ。

とても食欲がそそられる香りだ。
そして、吸い寄せられるように、口に含む。

雑味のないクリーンな味わい。
ブドウをそのまま口に含んだような、生き生きとした果実味。
そして、全体を引き締めるシャープな酸と、それらをしっかりと支えるミネラル。

このシャブリ特有の味わいが、とても楽しみである。
夕日を見ながらテラスで飲みたい。

さぁ、今年も夏がやってきた。
シャブリの季節だ。


▼今回ご紹介したドメーヌはこちら▼

▼今回ご紹介したワインはこちら▼
2010 シャブリ・プルミエ・クリュ・レ・ヴァイヨン/ダニエル・ダンプ 5,250円


                              

2012年7月12日木曜日

トスカーナの楽園「カパンネッレ」②


‐‐‐‐ トスカーナの楽園「カパネッレ」①からの続き  ‐‐‐‐


年に一回カヴォーのオーナー達が集いパーティーを催す。
数年前からそのパーティーにはテーマが設けられている。カパンネッレの輸出先の国々のうちひとつがテーマとなる。今年のテーマは「日本」。
ホスト側のカパンネッレのスタッフは全員着物に身を包み、オーナー達を出迎える。


料理はミラノのNOBUのシェフが前日からワイナリーに入り込んで仕込むと言う熱の入れようだ。



ややイタリアの血の混じった和食のコースを進めながら4種類のワインが供される。
2種類、赤2種類、全てブラインドだ。出席者全員がブラインドテイスティングを回
答する趣向で、最も多く正解した2(男女)が決勝のブラインドを行い女性が制した。
この女性にはカパンネッレから日本行きの往復航空券と宿泊のパックが贈られた。
エノテカからはホテルに50&50をお届することになっている。

ちなみに宴の最後にゲストの子供がくじをひき、来年のテーマは「スロベニア」に決まった。
どんな宴席になるのだろうか…?

宴もたけなわ、皆がグラッパに手を付け始めたころは、もう全員友達である。
ディナーの出席者達はもちろん、カパンネッレのスタッフ、調理をしてくれたNOBUの皆さんもいつの間にか円陣を組むように立って、思い思いに話をしていた。

陽も暮れると気温は肌寒いくらいグッと下がる。
こういう寒暖の差がいいブドウを育むんだ、などと思いながら自分のグラスもグラッパだった。


人々はこの楽園に思い思いに集い、思い思いの時間を過ごす。
















身体いっぱいにカパンネッレの空気を感じて、それが忘れ得ぬ思い出となって、
身体に染み込んで行く。ワイナリーまで行けなくても、彼らが提供する様々なサービスもまた、
一味違った印象を刻みつける。ワイナリーが提供する空間の素晴らしさや、様々なカスタムメイドのサービスは、それをしてさらに満足せしめるワインの品質を維持しようと努めざるを得ない。

ひょっとしたら、究極のマーケティング手法であり、高い品質を保ち続ける一番の理
由かも知れない。




▼カパンネッレのワインはこちら▼
http://www.enoteca.co.jp/online-shop2/list.php?special=PR&bunner_id=wn




                                                                                   

トスカーナの楽園「カパンネッレ」①

「暑くないか?」フィレンツェ空港に迎えに来てくれたドライバーのカルロが開口一番聞いてきた。「大丈夫!」と言うと、「本当か?よく平気だな」と言って彼が指差した先には「38℃」の文字。
聞けば今年のトスカーナは5月下旬からずっと35℃超の天候が続いており、雨も少ない。
直近の天気予報によると、この暑さは7月中旬まで続くそうだ。

トスカーナはここ数年こういった天候が続いているそうだ。
そう言えばここ数年ワインの不出来を聞いたことがない。

キャンティ・クラシコの南東部に位置する小さな街、ガイオーレから急な坂を200mほど上がると「楽園」に辿り着く。
















「カパンネッレ」
ワイナリーの創設は1974年、ローマの実業家ロセッティ氏により開かれた。
1987年に現オーナーで、先日はオーナーとして初来日を果たしたジェームズ・シャーウッド氏が取得以降、大規模な投資が行われ、醸造施設は一新し、畑も買い足され現在の形となった。




様々な施設の刷新と共に、2003年に設置されたのがセラー内の「CAVEAU(カヴォー)」と呼
ばれる一室。映画に出てくる宇宙船のような扉を開けると、そこには45に区画された
空間が広がり、今は38の空間がワインで埋まっている。言わばカパンネッレ風のワイン・バンクだ。



カヴォーのオーナー達のほとんどがイタリアの他各国のレストランの経営者達。
カヴォーはオーナーの所在地が重ならなければ誰でもなれる。
毎年新ヴィンテージを60本以上購入することだけが条件だ。
結果としてイタリア各地の銘店やワインショップ、そして世界の銘店が名前を連ねることになる。

このカヴォーのコンセプトを考えたのは初代オーナーのロセッティ氏。
シャーウッド氏にその意思が引き継がれ形になった。

カヴォーの使い方はオーナー達によって様々だ。
自らのビジネスとは関係なく、毎年カパンネッレを買いカヴォーに収める人もいれば、イタリアの友人にギフトを送りたい時はここから直接出荷する人もいる。
またレストランのオーナーはお客さんがイタリアへ旅行すると言えば、カパンネッレを紹介し、ここに泊ってくれたお客様に自らのカヴォーのストックを提供する。

要はみんなカパンネッレのワインが大好きであり、自分の周りの人々に好きなワインを
紹介するツールとしてカヴォーを使う。
結果として好きな人の輪は広がり、カパンネッレは大きくはなくても「ニッチ」なマーケットで存在感を見せている。

ワインはご存知のように4種類、シャルドネ、キャンティ・クラシコ、ソラーレ、50&50。
アヴィニョネージとのジョイントベンチャーである、50&50は別として特徴的なのはどのワインのボトルも特注品、ラベルと後ろ側にクボミがあり、様々なカスタムメイドに対応可能となっている。
特に後ろ側のクボミは、ギフトの贈り先の名前を入れたり、企業のロゴを入れたりと、少量ロットから対応出来る。
「自分だけのワイン」という好奇心をくすぐるこのようなサービスはまた、このワイナリーのファンを増やすことの出来るカパンネッレ独特のアプローチである。

看板ワインのソラーレは、元々自家用消費ワインであった。
1990年から生産され、1995年まではカヴォーのオーナー達やごく近い人々に対して振る舞
われ、1996年からマーケットにリリースされた。

50&50は2007年まで毎年アヴィニョネージと交代でワインを造っていたが、
2008年ヴィンテージより全てカパンネッレの手によって造られることになった。
カパンネッレのみの手に委ねられることになれば、これまで以上に安定した酒質を表現できるだろう。もちろんメルロージュースは毎年アヴィニョネージから買うことになる。

                                             
                                                                 
                                                ‐‐‐‐ トスカーナの楽園「カパンネッレ」②へ続く  ‐‐‐‐


▼カパンネッレのワインはこちら▼
http://www.enoteca.co.jp/online-shop2/list.php?special=PR&bunner_id=wn                                           
                                                                                  

                          

2012年7月7日土曜日

熟成ワインの面白さ「シャトー・ド・フォンベル」


「シャトー・ド・フォンベル」

この一見地味で、どこにでもありそうなボトルのワインに、これほどの魅力が詰まっていたとは、
今まで知らずに過ごしていた自分がとても恥ずかしくなった。

飲む前から、フォンベルの肩書きは十分承知していたつもりだ。

サンテミリオンのグラン・クリュ、シャトー・オーゾンヌの兄弟。
オーゾンヌが所有する美しいコート地区のふもと、南西向きの斜面でブドウは育つ。















さらに、オーナー自らが醸造監督し、
オーゾンヌを造る一流醸造チームがワイン造りを手掛けている。

そして、『プチ・オーゾンヌ』と呼ばれる。

「そりゃ美味しいに決まっている」と決めつけるか、
それとも「肩書きだけだ」と敬遠するかは自由だ。

だが、これだけは言える。


「飲んでみるだけの価値は十分にある。」


抜栓直後、私は少々がっかりさせられた。
内心、期待値が大きかったからだろう。


香りがなかなか開かない。


これは売り文句を過大評価しすぎたか・・・。と嫌な予感が頭をよぎる。
だが、その嫌な予感はすぐに興奮へと変わった。

グラスを傾けているうちに、香りが立ってきた。
熟した黒系果実のアロマ、そして土っぽさとわずかな獣臭。鼻にツンとくるアルコール感。
10年の熟成がフレッシュな果実とは一味違う、様々な香りの変化を楽しませてくれる。
抜栓直後に予想していなかった、味への期待が膨らむ。

なかなかしっかりとした骨格の、飲みごたえのあるタイプかもしれない。

グラスを傾け、口に含む。


「なに!?」


香りから想像する味わいと、口に含んだ時の印象とがまるで違う。
土っぽさや、動物的なニュアンスからは想像できないほど、なめらかでエレガントだ。


もう一口飲み、確認する。


やはり違う。最初のアロマから力強い味わいを予想した私は、またしても裏切られてしまった。
これは実に良くできている。香で熟成を感じ、飲むとまだまだ若さの残る赤系果実のフレッシュさを感じる。そうだ、「シルキー」という表現が相応しい。
口に含んだ時から舌に心地よく、スーッと滑り込んでくる。

そして、これがまた食事との相性が抜群だ。
特に煮込み料理。時間をかけてじっくり煮込んだ料理に、フォンベルの持つ熟成感が合い重なって見事なマリアージュを表現してくれる。

牛フィレの煮込み、鶏肉のトマトソース煮込みはもちろん、牛すじや肉じゃがなども美味そうだ。
料理より目立つことなく、それらのソースと自然と混ざり込む。
若いヴィンテージでは出すことのできない、10年の技だ。


これは面白い!


ここにきて、ようやくフォンベルの評価が高い理由に納得した。

ここまでくれば、オーゾンヌが関与していようがしていまいが、
美味しい1本に出会えたことに意味がある。

やはり熟成ワインは興味深い。
そして、これは間違いなく買うべき1本である。


▼今回ご紹介したワイン▼
2002 シャトー・ド・フォンベル 3,990円