2012年7月7日土曜日

熟成ワインの面白さ「シャトー・ド・フォンベル」


「シャトー・ド・フォンベル」

この一見地味で、どこにでもありそうなボトルのワインに、これほどの魅力が詰まっていたとは、
今まで知らずに過ごしていた自分がとても恥ずかしくなった。

飲む前から、フォンベルの肩書きは十分承知していたつもりだ。

サンテミリオンのグラン・クリュ、シャトー・オーゾンヌの兄弟。
オーゾンヌが所有する美しいコート地区のふもと、南西向きの斜面でブドウは育つ。















さらに、オーナー自らが醸造監督し、
オーゾンヌを造る一流醸造チームがワイン造りを手掛けている。

そして、『プチ・オーゾンヌ』と呼ばれる。

「そりゃ美味しいに決まっている」と決めつけるか、
それとも「肩書きだけだ」と敬遠するかは自由だ。

だが、これだけは言える。


「飲んでみるだけの価値は十分にある。」


抜栓直後、私は少々がっかりさせられた。
内心、期待値が大きかったからだろう。


香りがなかなか開かない。


これは売り文句を過大評価しすぎたか・・・。と嫌な予感が頭をよぎる。
だが、その嫌な予感はすぐに興奮へと変わった。

グラスを傾けているうちに、香りが立ってきた。
熟した黒系果実のアロマ、そして土っぽさとわずかな獣臭。鼻にツンとくるアルコール感。
10年の熟成がフレッシュな果実とは一味違う、様々な香りの変化を楽しませてくれる。
抜栓直後に予想していなかった、味への期待が膨らむ。

なかなかしっかりとした骨格の、飲みごたえのあるタイプかもしれない。

グラスを傾け、口に含む。


「なに!?」


香りから想像する味わいと、口に含んだ時の印象とがまるで違う。
土っぽさや、動物的なニュアンスからは想像できないほど、なめらかでエレガントだ。


もう一口飲み、確認する。


やはり違う。最初のアロマから力強い味わいを予想した私は、またしても裏切られてしまった。
これは実に良くできている。香で熟成を感じ、飲むとまだまだ若さの残る赤系果実のフレッシュさを感じる。そうだ、「シルキー」という表現が相応しい。
口に含んだ時から舌に心地よく、スーッと滑り込んでくる。

そして、これがまた食事との相性が抜群だ。
特に煮込み料理。時間をかけてじっくり煮込んだ料理に、フォンベルの持つ熟成感が合い重なって見事なマリアージュを表現してくれる。

牛フィレの煮込み、鶏肉のトマトソース煮込みはもちろん、牛すじや肉じゃがなども美味そうだ。
料理より目立つことなく、それらのソースと自然と混ざり込む。
若いヴィンテージでは出すことのできない、10年の技だ。


これは面白い!


ここにきて、ようやくフォンベルの評価が高い理由に納得した。

ここまでくれば、オーゾンヌが関与していようがしていまいが、
美味しい1本に出会えたことに意味がある。

やはり熟成ワインは興味深い。
そして、これは間違いなく買うべき1本である。


▼今回ご紹介したワイン▼
2002 シャトー・ド・フォンベル 3,990円













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