2012年8月25日土曜日

幸せな気持ちになれるワイン「ヴォーヌ・ロマネ・ボシエール」

最近しみじみ感じる。

ワインは実に飲むその時まで、その魅力の真価は決してわからない。

一度、あるヴィンテージを飲むと、
まるでそのワインと造り手を知ったかのような気になるが、
それはあくまで、うわべだけのことに過ぎない。

毎年、同じ畑で同じ人が造ろうとも、同じ天候になることは決してない。
毎日成長するブドウから、全く同じブドウが収穫されることもまずない。

同じワインは2度と造られない。

開けてみて初めてわかる、その出来具合。
この特別感こそがワインの醍醐味であり、難しさでもある。
だが、そんな気難しさがあるからこそ、
グラスの中で華やかに輝く、まるで命を吹き込まれたかのようなワインに感動を覚える。

ドメーヌ・ジャン・グリヴォが造る「ヴォーヌ・ロマネ・ボシエール」。























まさに、このワインが私に感動を与えてくれた。
いや、感動と言うと少し大げさだ。嬉しさとでも言おうか。


ジャン・グリヴォはヴォーヌ・ロマネに本拠地を置くブルゴーニュの名門ドメーヌ。
主に、ヴォーヌ・ロマネとニュイ・サン・ジョルジュに畑を所有し、
所有する畑の半分以上がグラン・クリュ(特級畑)やプルミエ・クリュ(1級畑)という
最良のテロワールを誇っている。


















畑もリュット・レゾネ(減農薬法)方式で管理し、テロワールを最大限に表現できるよう、
人為を排して自然に近い形で、栽培、醸造を行っている。

















昔飲んだ記憶が正しければ、ジャン・グリヴォのワインは果実の凝縮感、
そして濃厚なアロマが印象的であった

どの畑の何年ものであったのか、その記憶があいまいであることが嘆かわしい。

だが、今回はそのあいまいな記憶が鮮明に塗り替えられる程、
この「ヴォーヌ・ロマネ・ボシエール」は輝きを放っていた。

それゆえに、本来ならば自分の想像と違い、裏切られたと感じるところだが、
不覚にも喜んでしまった。


透明度の非常に高い、赤みを帯びた紫色。
ツルンとした光沢のある輝き。
あまりの透き通った美しさに、グラスを何度傾けて目を凝らしたことか。





まるで搾りたてのブドウのようなフレッシュなアロマ。
つい、最近まで緑が生い茂る畑の中で房となっていたブドウを
そのまま持ってきたかのような瑞々しさがある。

口に含むとスーッと滑らかに流れ込む。
一切雑味を感じない、洗練されたピュアな味わい。

ブルゴーニュワインに見られる、若いヴィンテージ特有の酸味がなく、
抜栓直後から穏やかで愛らしい。

素直に真っすぐと育った、そんな自然な印象だ。

一口、飲むたびに嬉しさが込み上げる。
「知らなかったぞ!こんなに美味かったなんて!」

いつの間にか、心の中でスキップを踏んでいた。
なんだか得した気分である。


『幸せな気持ちになれるワインを造りたい。』
当主、エチエンヌ・グリヴォ氏の想いは、しっかりと私の胸に届いた。



▼今回ご紹介したワイン▼
2008 ヴォーヌ・ロマネ・ボシエール / ジャン・グリヴォ 7,350円
http://www.enoteca.co.jp/online-shop2/detail.php?hanbai=0&order=0&shohincode=0209433213A8&bunner_id=wn

▼ドメーヌの紹介はこちら▼
ジャン・グリヴォ
http://www.enoteca.co.jp/online-shop2/list.php?special=ZB&bunner_id=wn

2012年8月17日金曜日

何度も飲み頃を迎えるワイン「クロ・デ・パプ・ブラン」
















かつて世界一のワインとの評価を受け、シャトーヌフ・デュ・パプの最高の造り手として呼び声高いクロ・デ・パプ。セラー内を案内された際に見た機械はどれも綺麗に整備されている。
10
年以上使っているというエチケットを貼る機械はまるで買ったばかりかのように美しい。


















清潔感のあるワインセラーはポール・アヴリルの性格をそのまま表しているようだ。
会って早々、挨拶もほどほどに自分のワイン造りについて熱く語ってくれた。
      












 



ワインの良し悪しの80%がブドウで決まると考え、ブドウ栽培に勤しんでいること、4年前からビオでの栽培を始めていること、また古木のブドウを使用することに重きをおいていること、ブドウは徹底した収穫・選果を行っており、毎年決まった人を雇っていること、収穫したブドウは今まで一度も他の生産者に販売したことがないことなど。
我を忘れて、無我夢中に熱く語る姿はまるで子供のようであった。

その中でも、ポールがしきりに繰り返していたのは、「ブルゴーニュのようなワイン造り」である。パーセル(区画)によって違うテロワールで造られる同じブドウ品種を混ぜて造ることで、力強さやエレガントさが増すという。

シャトー・ヌフ・デュ・パプのアペラシオンで使用が認められている
白の品種は6種類。
クロ・デ・パプではそのすべてを栽培している。















ポール曰く、クロ・デ・パプのシャトーヌフ・デュ・パプ・ブランの飲み頃は数度訪れると言う。
1度目は出荷してすぐの3年後まで。この時期はフレッシュな味わいが愉しめる。
2度目は58年後。リリース当時に感じたフレッシュさはすっかり落ち着き、トロリとしたミネラル感が全面に出てくる。アニスやぺトロール(石油系の油)のニュアンスが感じられ複雑味が増してくる。
その後、10年も経つとまるでブルゴーニュのグラン・クリュの熟成した白ワインのようにシャンピニオン、蜂蜜、アーモンドのような香りに変化するという。
その後いつまで飲み頃が続くのかは分からない、と茶目っ気たっぷりに答えるポール。
その姿は、自らのワインの成長を慈しんでいるようだった。
さて、今回の主役、2011年の白をいただくとしよう。
なんという瑞々しさであろう。
なるほど、これが最初の飲みごろと言うものか。確かにフレッシュでフルーティ。
熟成などしなくとも十分に楽しめる生き生きとした魅力がある。



















その後、進められるままに、2004年のテイスティングへと移行する。
二度目の飲み頃を迎えているワインと2011年の味わいを比べてみろというわけだ。
ポールに説明された通り、アニスのようなスパイスのニュアンス、そしてオイリーで長い余韻を感じる。なんと言っても、2011年のフレッシュな味わいからは想像し難い熟成感と深みがそこにはあった。

どうだ、どっちが好きだ?

ポールが少年のように目をキラキラと輝かせて聞いてくる。
若々しいのもいいが、少し落ちついた熟成感のある味わいの方が好きだ。と私は答えた。

完璧なまでに計算された飲み頃。
いつ、どの時期に開けても様々なスタイルで飲み手を満足させてくれる。
変幻自在とでもいうべきか。

さすがポール、「最高のワインにしか興味がない」と言うだけある。


 

▼今回ご紹介したワイン▼
2011 シャトー・ヌフ・デュ・パプ・クロ・デ・パプ・ブラン



2012年8月11日土曜日

エノテカ初入荷!!イギリスワイン「キャメル・ヴァレー」

世界を代表するワイン大国ヨーロッパの中でも、近年イギリスワインが目覚ましい進化をとげているのはご存じだろうか。
イギリスワインと聞いても、なかなかピンとこないであろう。
それもそのはず、輸出に対応できるほどの大規模ワイナリーはまだ少ないからだ。

だが、イギリスワインの歴史は意外に古い。
11世紀にはすでにブドウを栽培し、ワイン造りが行われていたという。
しかし、宗教革命の中で、当時ブドウ畑の所有者であった修道院の解体により、畑も同時に解体された。その為、ワイン造りは一時中断され、その後16世紀に復活し、戦争による衰退を経ながらも生産者の積極的な投資により、19世紀初頭には400を超えるブドウ畑が存在していた。

そして今、400年以上の時を経て、イギリスワインの復興に力が注がれている。

 
今回エノテカに初入荷したのが
世界的なコンクールで数多くの賞やメダルを獲得した実績を持つ名門ワイナリー
“キャメル・ヴァレー”。


 

イギリスの中でも温暖で日照量の多い南西部、コーンウォール州に位置するワイナリーである。










今回味わうのは、キャメル・ヴァレーのスタンダード・キュヴェ、
 「キャメル・ヴァレー・ブリュット」。
早速、イギリスワインのお手並み拝見といったところだ。 

 







 













色はほとんど透明に近い。非常に澄んでいて美しい印象だ。
青リンゴや白い花、そしてシトラス系の爽やかなアロマが鼻を突きぬける。
わずかに香る柔らかいイースト香。上品さを醸し出す。
香りから判断すると、酸味のしっかりとしたキレのある印象だ。

一口、口に含む。

フワッと優しい泡が口中で広がる。
香りの印象とは少々ギャップがあり、優しく軽やかだ。
泡は線が細く繊細。喉をスッと通っては消える、不思議な感覚だ。
その正体を掴みたくなり。もう一口飲んでみる。
やはり泡は妖精のように消える。
キラキラと魔法の粉を散らして去るかのように、綺麗な酸が喉を潤す。
スッとした無駄のない洗練された味わい。余韻に残る酸味とミネラルが心地良い。
飲めば飲むほどさらに欲しくなり、スイスイと何杯でも飲めてしまう。
弾ける柑橘類のフレッシュな果実味が、体をリセットさせてくれる。

いくら飲んでも疲れない。主張しすぎず、品のある立ち振る舞い。
まるでイギリス紳士のような、そんな魅力を持っている。

 




 










やるではないか、イギリス。
フランスのシャンパーニュとも、イタリアのスプマンテとも、スペインのカヴァとも一味違ったスパークリングワインだ。醸造技術の発展と地球温暖化の影響を受け、今後イギリスワインの生産量はますます増えると予想される。

この夏、世界の大舞台となり大いに盛り上げてくれたイギリス。

イギリスを代表する名門ワイナリーとして、キャメル・ヴァレーにはこの先さらなる活躍が予想される。 

今年はやはり、イギリスから目が離せない。



▼今回ご紹介したワイン▼
2010 キャメル・ヴァレー・ブリュット 3,990円


2012年8月4日土曜日

楽しさを運ぶワイン「シト・モレスコ」

ボスが笑った。


そんな印象を受けるワインだ。


見た目はいかにも「ドン」や「ボス」と言った言葉が似合う、貫録ある出で立ち。
まさに泣く子も黙る、イタリアワインの帝王「ガヤ」。
そんなガヤの4代目当主、アンジェロ・ガヤ氏がニコッと優しく微笑んだような気がした。

1859年、北イタリア、ピエモンテ州の小さな村、バルバレスコからスタートしたガヤ。
現在の当主、アンジェロ・ガヤ氏はピエモンテで初めてフランス産のバリック(小樽)を使用した。また、これまでネッビオーロやバルベラしか栽培されていなかったピエモンテの地でフランスの伝統的な品種、カベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネの栽培を始めた。さらには、バルバレスコの最高の区画から単一畑のワイン(しかもバルバレスコを名乗らない)を造るという型破りな行動を実現し、ワイン界を驚かせたのだ。

高品質なワイン造りに一切妥協せず、伝統を守りつつも常に革新的な技術を取り入れ、イタリアワインの地位の向上に貢献してきたのである。


そんなイタリアワイン界の重鎮、アンジェロ・ガヤ。
彼のこれまでの功績を振り返ると、ガヤのワインを飲む時は、なんだか身構えしてしまう。
もちろん彼への敬意を表してのことだ。


だが、シト・モレスコにはその必要がなかった。
もっと気軽に彼に近づけた。













赤いキジが2羽寄り添う印象的なラベル。
シト・モレスコとは、畑の以前のオーナーファミリーの名前に由来し、「モレスコさんの場所」という意味がある。なぜキジかというと、以前のオーナー、モレスコ氏が造っていたワイン“ゴールド・フェザー(金のキジ)”のモチーフを残したからだ。


なかなかいい、人情味ある話ではないか。


そんなことを考えながら、グラスに注ぐ。


色は濃い赤紫。
空気に触れさせ、明かりを通すと綺麗な透明感がある。粘性も強い。


グラスにゆっくりと鼻を近づける。


次から次へと全面に出てくるカシス、ブルーベリー、ダークチェリーなどの赤系果実のアロマ。
同時に、アルコールの香りも強く、時々スモーキーなニュアンスが顔を出す。
全体的な香りはボルドーワインに近い。特に、メルロの比率の高いワインの印象だ。


豊かな香りを楽しみながら、口へ運ぶ。


グワッーと広がる旨味。果肉のたっぷり入った作り立てのジャムを口にした気分だ。
果実味が非常に生き生きとしている。強いタンニンや渋みとは無縁のところにいるように感じる。
上品なシルクのように喉に溶け込み、フルーティーな余韻を残す。とても華やかな印象だ。


ネッビオーロとメルロとカベルネソーヴィニョン。
シト・モレスコはこの3種がほぼ均等な割合でブレンドされている。
3種の品種が織りなす絶妙なバランス。初めての体験だ。      


この味わいは、ピエモンテでしか、更にはガヤにしか作れない奇跡のアッサンブラージュだろう。
幸運にも、シト・モレスコは自身の魅力にまだ気が付いていないようだ。
無防備で、親しみ易さが全面に出ている。何より、ヴィンテージに限らず、開けてすぐに楽しめるのが嬉しい。どこへ出ても、皆に愛されるだろう。


ほら。
ボスが微笑んでいる。


「みんな、楽しく飲もうじゃないか。」



















▼今回ご紹介したワイン▼
2009 シト・モレスコ/ガヤ 5,880円
http://www.enoteca.co.jp/online-shop2/detail.php?hanbai=0&order=0&shohincode=0446506413A9&bunner_id=wn