2012年8月4日土曜日

楽しさを運ぶワイン「シト・モレスコ」

ボスが笑った。


そんな印象を受けるワインだ。


見た目はいかにも「ドン」や「ボス」と言った言葉が似合う、貫録ある出で立ち。
まさに泣く子も黙る、イタリアワインの帝王「ガヤ」。
そんなガヤの4代目当主、アンジェロ・ガヤ氏がニコッと優しく微笑んだような気がした。

1859年、北イタリア、ピエモンテ州の小さな村、バルバレスコからスタートしたガヤ。
現在の当主、アンジェロ・ガヤ氏はピエモンテで初めてフランス産のバリック(小樽)を使用した。また、これまでネッビオーロやバルベラしか栽培されていなかったピエモンテの地でフランスの伝統的な品種、カベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネの栽培を始めた。さらには、バルバレスコの最高の区画から単一畑のワイン(しかもバルバレスコを名乗らない)を造るという型破りな行動を実現し、ワイン界を驚かせたのだ。

高品質なワイン造りに一切妥協せず、伝統を守りつつも常に革新的な技術を取り入れ、イタリアワインの地位の向上に貢献してきたのである。


そんなイタリアワイン界の重鎮、アンジェロ・ガヤ。
彼のこれまでの功績を振り返ると、ガヤのワインを飲む時は、なんだか身構えしてしまう。
もちろん彼への敬意を表してのことだ。


だが、シト・モレスコにはその必要がなかった。
もっと気軽に彼に近づけた。













赤いキジが2羽寄り添う印象的なラベル。
シト・モレスコとは、畑の以前のオーナーファミリーの名前に由来し、「モレスコさんの場所」という意味がある。なぜキジかというと、以前のオーナー、モレスコ氏が造っていたワイン“ゴールド・フェザー(金のキジ)”のモチーフを残したからだ。


なかなかいい、人情味ある話ではないか。


そんなことを考えながら、グラスに注ぐ。


色は濃い赤紫。
空気に触れさせ、明かりを通すと綺麗な透明感がある。粘性も強い。


グラスにゆっくりと鼻を近づける。


次から次へと全面に出てくるカシス、ブルーベリー、ダークチェリーなどの赤系果実のアロマ。
同時に、アルコールの香りも強く、時々スモーキーなニュアンスが顔を出す。
全体的な香りはボルドーワインに近い。特に、メルロの比率の高いワインの印象だ。


豊かな香りを楽しみながら、口へ運ぶ。


グワッーと広がる旨味。果肉のたっぷり入った作り立てのジャムを口にした気分だ。
果実味が非常に生き生きとしている。強いタンニンや渋みとは無縁のところにいるように感じる。
上品なシルクのように喉に溶け込み、フルーティーな余韻を残す。とても華やかな印象だ。


ネッビオーロとメルロとカベルネソーヴィニョン。
シト・モレスコはこの3種がほぼ均等な割合でブレンドされている。
3種の品種が織りなす絶妙なバランス。初めての体験だ。      


この味わいは、ピエモンテでしか、更にはガヤにしか作れない奇跡のアッサンブラージュだろう。
幸運にも、シト・モレスコは自身の魅力にまだ気が付いていないようだ。
無防備で、親しみ易さが全面に出ている。何より、ヴィンテージに限らず、開けてすぐに楽しめるのが嬉しい。どこへ出ても、皆に愛されるだろう。


ほら。
ボスが微笑んでいる。


「みんな、楽しく飲もうじゃないか。」



















▼今回ご紹介したワイン▼
2009 シト・モレスコ/ガヤ 5,880円
http://www.enoteca.co.jp/online-shop2/detail.php?hanbai=0&order=0&shohincode=0446506413A9&bunner_id=wn







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