2013年6月19日水曜日

異色のプレミアム・ナパワイン「ナパヌック」、その人気に迫る。

異色のプレミアム・ナパワインとして人気を博す「ナパヌック」。
毎年極少量のみ入荷され、瞬く間に完売を遂げる、その勢いといったら凄まじい。

そもそも何が「異色」であり、それほどまでの高い人気を誇るのか。
人々を惹きつける「ナパヌック」の魅力を、我ながら解明することにした。




「ナパヌック」を手掛けるのは、ペトリュス、オザンナ、ベレール・モナンジュなど
ボルドー右岸のスターワインを育て上げた、世界屈指のワインメーカー
そうあの大物、クリスチャン・ムエックス氏である。

既に彼の名を知っている人も多いだろう。
だが、年間を通して彼が一番多くの時間を過ごしているのが、
カリフォルニアの地であるということは、あまり知られていないのではないだろうか。





ナパヌックが造られるのは、ナパ・ヴァレー最古の畑「ナパヌック・ヴィンヤード」。
彼をカリフォルニアに留める魅力の地である。

太古のジュラ紀には海の底であったといわれるこの土地。
太平洋からの寒流を受ける海岸線のエリアよりも、温暖な気候に恵まれている上、
ナパ・ヴァレーの中では比較的冷涼な地域に位置している。
そのため、暑すぎる気候で育った筋肉質なワインとは違う、
優雅でエレガントなカベルネ・ソーヴィニヨンが造られる。

「ワインは醸造所で造られるのではなく畑で造られるべき」

という彼の哲学において、この「ナパヌック・ヴィンヤード」の土地は
まさにワイン造りの理想的な場所であった。



ここまでの話をまとめたところで、ナパヌックの人気の真意が
解明されたと結論付けるには不十分である。

そう、最も注目すべき点は、カリフォルニアの地において
ブドウ造りから瓶詰めまでを一貫して行う、ドメーヌ方式を取り入れたことなのである。

フランスではごく当たり前のドメーヌ方式だが、かの有名なオーパス・ワンでさえも、
ブドウは契約農家から買い付けていたという時代、このドメーヌ方式の導入は
カリフォルニアのワイン界に大きな衝撃を与えた。

自社畑100%のブドウ造りを行うことで、徹底した畑の管理が可能となる。
ムエックス氏本人の目が隅々まで行き渡り、畑の一番端の樹にまで驚く程の手間がかけられている。

「異色」といわれる理由は、このドメーヌ方式の導入からも由来する。


では、肝心な味わいはいかなるものか。




 

ブラックベリーやチェリーのベリー系の果実味、
そしてハーブや杉、スパイスのニュアンスが口いっぱいに広がる。
一般的にイメージされる、「力強く濃厚なカリフォルニアワイン」とは少し違う。
樽のニュアンスは抑えられ、ブドウ本来の果実味と酸が丁寧に抽出されている。
凝縮された果実味はしっかりと感じるものの、タンニンはきめ細かく滑らか。
カリフォルニアワインにありがちな、甘味が先行することもなく複雑で骨格がしっかりとしている。

なるほど、口にして初めてナパヌックの人気の理由がわかった。

カベルネ・ソーヴィニヨンを主体としたボルドーブレンドにこだわったムエックス氏。
ナパヌックのテロワールを生かしながらも、あくまで優雅でエレガントな味わいは、
まるでボルドーワインを飲んでいるかのような、錯覚さえ覚える。

ポップなラベルの印象とは裏腹に、
カリフォルニアワインの概念を覆す上品なテイストは、
まさに彼が理想とする「若いうちから楽しめるボルドーブレンド」である。

このコンセプトを実現させた味わいこそが、
ナパヌックの人気の秘訣であると私は確信した。


▼今回ご紹介したワインはこちら▼
2008年 ナパヌック / ドミナス・エステート 5,250円