2014年7月6日日曜日

躍進し続けるイタリアの奇跡「ベラヴィスタ」


北イタリア、ロンバルディア州。
ミラノの東80キロに位置する優美なイゼオ湖の南に広がるなだらかな丘陵地帯、
この辺りが、
「イタリアのシャンパーニュ」
とも呼ばれるフランチャコルタ地方だ。

DOCGフランチャコルタは、
フランスのシャンパーニュに代表される
メトド・クラッシコ(瓶内二次発酵による製法)で作られるスパークリングワインで、
他にこの製法が原産地呼称の規定となっているのは、
スペインのカヴァだけである。

現在、イタリアのメトド・クラッシコによる全スパークリングワインが
半分近くを占めるフランチャコルタ地方だが、
歴史は新しく、1960年代初頭に始まる。
僅か50年で世界的名声を得るまでになったその成長物語は
“イタリアの奇跡”と讃えられている。

そのフランチャコルタの華麗なる躍進の立役者で、
巨匠と称されるワイナリーがある。

その名も「ベラヴィスタ」。
イタリア語で“美しい眺め”を意味する
















オーナーのヴィットリオ・モレッティ氏は
元々優れた工業建設業者として名をはせる成功者であり、
1970年代からフランチャコルタの地でスパークリングワインを手掛けている。





















ワイナリーはイゼオ湖に近い所に位置し、
非常に水はけの良い氷堆石の土壌。気候も素晴らしく、
アルプス山脈の冷気がカモニカ谷を経てイゼオ湖に流れ込むため、
日照に恵まれているにも関わらず、夏も適度な気温を保つ。
かつ夜は気温が下がるので、ブドウのアロマ形成に非常に良い効果をもたらすのだ。

彼はまず、その恵まれた地で出来るだけ多くの場所に畑を得ることにした。
天候不順によるリスクを回避し、様々な個性を組み合わせることで
複雑で奥行きのある味を出す為だ。
現在では、ベラヴィスタは自社畑と契約畑を合わせて200ヘクタール、
10の村に100余りの区画を所有している。

















そのほとんどが南向き、かつ平均樹齢19年のブドウの樹で、 
地中深く張った根が土中の成分を十分に吸い上げる。
これによりブドウにベラヴィスタ独特の醸造方法
「樽発酵、樽熟成」に耐え得る力強さが備わるのだ。

DOCGフランチャコルタの規定では、最低18ヵ月の瓶内熟成を経れば良いところ、
ベラヴィスタでは最低48ヵ月の歳月がかけられる。
その後リザーヴワインをブレンドする際に、
スタンダードクラスでさえ
セラーに並ぶ約1200の樽から30種類を選び、
過去36ヵ月~48ヵ月年のものをブレンド、
更に36ヵ月間に渡る熟成を経てリリースされる。

フランチャコルタの概念を超える手間と時間がそこにはかけられているのだ。










そうして生みだされる美泡はシャンパーニュと並び称されるほど高い品質を誇り、
1995年にフランチャコルタDOCG認定に貢献、
一躍その名を押し上げた。

ワイン評論家ロバート・パーカー氏からは、

「シャンパンと互角に戦える泡はベラヴィスタだ。
イタリアで今まで成し遂げなかった偉業を成し遂げた。」

と称賛されている。












そのイタリアの奇跡を生んだモレッティ氏が生み出す、
スタンダード・キュヴェにして「完璧な美泡」と賞される1本が、
『フランチャコルタ・キュヴェ・ブリュット』。
一体どんな味わいが愉しめるのか。
期待を胸に、飲んでみるとしよう。

 




















グラスに注ぐと、
力強く、しかしどこか可愛らしさを感じる可憐な泡がたつ。


そこから溢れ出るのはレモングラスのような爽やかさと、
洋ナシを思わせる甘やかなアロマ。
フランチャコルタらしい綺麗な果実味と
太陽の恩恵を存分に受けているブドウの自然な甘み、純粋さが感じられ、
ミネラルと酸味がバランス良く溶け込み、ワインとしての高い完成度を持つ。

数十年という短期間のうちに奇跡的な成功を遂げ、
時にシャンパーニュを凌駕するとさえ言われる
独自の味わいと市場を確立した、フランチャコルタ。
まさにその“イタリアの奇跡”を体感するに相応しい1本だ。




そのベラヴィスタに、最近新たなニュースが飛び込んできた。
全てのラインナップについて、
ボトル、パッケージデザインを一新するというのだ。




鮮やかな色彩を放つそのパッケージデザインは、
若い世代の人たちにも親しみをもってもらいたいという願いや、
どこから見ても、一目でべラヴィスタということが分かる、
独自性を表したいという想いが込められているそう。
それは、揺るぎない地位を確立した
ベラヴィスタの自信の表れとも言えるかもしれない。


留まることを知らず、
躍進し続けるその姿勢に敬意を払い、
「完璧な美泡」を愉しむとしよう。



▼今回ご紹介したワインはこちら▼
http://www.enoteca.co.jp/online-shop2/detail.php?codehead=&shohincode=046123962300&bunner_id=wn35

※新デザインのフランチャコルタは、近日販売予定です。





2014年6月15日日曜日

真のワイン好きの富豪が造る、手が届くグランヴァン

「大企業の最高責任者を務めながら、愛するワインの畑を買い、
自分が飲みたいワインを造る。」

そんな誰もが憧れる(もちろん私も)人生を地で行く男がいる。
それが、ブルゴーニュのドメーヌ・フランソワ・フュエのオーナー、
フランソワ・フュエ氏だ。















まず、彼の富豪ぶりが半端ではない。
キャンピングカーやテントなどアウトドア用品の
製造販売を行うTRIGANO社の最高責任者でもある彼は(もちろん現役である)
フランスの長者番付でトップ200にランクインしたこともあるという正真正銘の富豪。

そんな彼はブルゴーニュワインを愛するあまり、
1991年にニュイ・サン・ジョルジュにあるオー・トレイの畑を購入、
ワイン造りを始めたのである。

もちろん、富豪が造るワインなどいくらでもある。
ボルドーのシャトーを例にとっても、そのオーナーは、富豪だらけだ。
大手生命保険会社、洋酒メーカー、ファッションブランドのオーナー。
最近では中国の富豪がボルドーのシャトーを買収する話もよく聞く。

だた、ブルゴーニュの畑を買った富豪というのはあまり聞かない。
最近だと、ドメーヌ・デュージェニーを買収した、
ボルドーのシャトー・ラトゥールのオーナーでもあるフランソワ・ピノー氏くらいである。
なぜなら、ブルゴーニュの栽培面積はボルドーの約4分の1
ただでさえ少ない畑であり、誇り高きフランス人で、
代々相続してきた大切な畑を売る人間はそうそういない。

しかも、フランソワ氏が買った畑の一つ、ヴォーヌ・ロマネの区画は、
今は亡きワインの神様、アンリ・ジャイエのアドバイスに従って買ったという
超優良畑だというではないか。

なぜフランソワ氏は、そんなに入手困難な畑を購入することができたのか?
それに対する氏の答えは、単純明快。「ありとあらゆる手を使ったんだよ(ウインク!)

















もちろん膨大な財力を注ぎ込んだことは想像に難くない。
ただ、彼がブルゴーニュの人々を説得できたのは、
彼が真のブルゴーニュワイン愛好家であったということが大きい。
ワインを愛するブルゴーニュの人々は、同じくワインを愛するフランス人
であったからこそ、大事な畑を売ることができるのではないだろうか。

さて、話をワインに戻そう。
フランソワ・フュエ氏のもう一つ凄いところは、
あらゆる点においてこだわりぬいた素晴らしい品質のワインを、
妥当な、信じられないほどお買い得な価格で販売している点にある。

まず、ブドウの栽培、醸造を請け負っているのは、ダヴィド・デュバン氏。


















現在ではダヴィド・デュバン名義でもワインをリリースしており、
「ブルゴーニュの若手No.1」との呼び声高い造り手である。
フランソワ氏はいち早く彼の才能を見抜き、
1991年の創業当初からダヴィド氏にワイン造りを一任することにしたのだ。
弱冠20歳のほとんど無名の若者の才能を見抜き、
リスクを恐れずに投資するところが優れた経営者の彼らしい。

そして、経営者であるとともに真のワインラヴァーである彼は、
ワイン造りへのこだわりが並ではない。

ブドウ栽培はビオロジックを採用、化学物質を一切使用しないのはもちろん、
機械が入れない傾斜面に畑が多く、木を傷つけないようにするため、
馬を使って畑を耕している。

そしてグラン・クリュのブドウの収穫には「ペデュセル」という
非常に手間のかかる方法を採用している。
これはブドウの付け根の梗を数ミリ残して摘み取るという非常に手のかかる作業。
梗を少し残すことで、ブドウのジュースが流れ出ないようにし、
またブドウを傷つけることなく収穫できるという点にある。
これには通常の7倍の時間と数倍のコストがかかるという。

よりよいブドウを収穫するために、時間とコストを要する作業をいとわない、
この姿勢こそが、彼が真のワインラヴァーたる所以である。

さあ、そんなこだわりの詰まったワインを飲んでみることにしよう。
彼の拠点がある、モレ・サン・ドニのワイン、
「モレ・サン・ドニ・プルミエ・クリュ・クロ・ソルベ 2010年」である。

























グラスに注いだ瞬間から、大きな花束を思わせる華やかな香りが漂う。
そこにブラックチェリーの凝縮したアロマ。
グラスを回すと、ミントやリコリス、スパイスといった香りが顔を出す。
まだ少し硬い印象があるが、タンニンはシルキーで、
存分に旨味を感じることができる。

果実の凝縮感とミネラルが、素晴らしいバランスでまとまっており、
とにかくエキスの塊のような旨味に圧倒される。
これぞワインラヴァーが心の底から喜ぶ、
雑味がそぎ落とされた究極の美味しさといっても過言ではないだろう。

フランソワ氏のワイン造りの信念は
「本当にワインが好きな人、味がわかる人にだけに美味しいワインを届ける」
ことだと言う。
クロ・ソルベは1級畑、そしてこの完成度でありながら
価格は1万円を切るというリーズナブルさ。何とも嬉しいではないか。

聞けばフランソワ氏は、まだまだブルゴーニュに畑を買い足すという
野望をもっているらしい。

こんなに良心的な価格の、素晴らしく美味しいグラン・ヴァンを
世に出してくれる富豪はそういないだろう。

フランソワ氏の健闘を祈りつつ、残りのワインをじっくり頂くことにしよう。


▼今回ご紹介したワインはこちら▼







2014年6月4日水曜日

グラスの先に意思を伝える「カステッロ・ディ・アマ」



誰しも耳にしたことがあるであろうワインの銘醸地、キャンティ・クラシコ。
その名を聞き、「安ワイン」と想像するのは一昔前のことだ。
現在では数々のワイナリーが、高品質のキャンティ・クラシコを生み出している。
そのキャンティ・クラシコの地位を復活させた偉大なるワイナリー、カステッロ・ディ・アマ。




そしてその立役者であり、現在も最高峰のキャンティ・クラシコを手掛ける人物が、
栽培・醸造責任者であるマルコ・パランティ氏、その人である。
























1980年代初頭に街中で安酒として振舞われていたのは、
すぐオレンジ褐色に変わり、熟成能力を持たないキャンティ・クラシコであった。

キャンティ・クラシコの土地を愛するマルコ氏はその事実を嘆じ
5年経過しても美味しく飲めるキャンティ・クラシコを造ること」を目標に掲げ
1982
年よりカステッロ・ディ・アマでワインを手掛け始めた。

アマのワイナリーは標高約500メートルと、
キャンティ地区では最も高い丘陵地帯に位置している。
土地がなだらかに傾斜していることで日当たりや土壌が場所ごとに異なる為、
アマの所有する土地の中でも様々な個性をもつテロワールが存在していた。

















その個性を活かすためにマルコ氏は従来のキャンティ地区では考えられなかった、
ブルゴーニュのクリュの概念を取り入れたのだった。
ブドウは有機栽培し、収穫量を50%減らす英断をし、より良いブドウのみを選別する。
発酵には自然酵母のみを使用するなど、
テロワールを最大限表現することに心血を注いだ。

そうして品質を劇的に向上させ、リリースした単一畑もののキャンティ・クラシコは、
5
年どころか、30年以上熟成能力をもつ偉大なワインとなった。
この単一畑のワインは、ベラヴィスタ、ラ・カズッチャという畑から
ブドウの出来が良い年のみに極めて少量生産される、
まさにキャンティ・クラシコの歴史を変えたと言っても過言ではない銘品である。

あくまでキャンティ・クラシコにこだわり続けるマルコ氏が次に掲げた目標は、
「フラッグシップであるキャンティ・クラシコを多くの人々に提供すること」。
本当に適した畑にのみサンジョヴェーゼを残し、
冬の剪定から収穫時のブドウの選別までを厳しくした結果、
キャンティ・クラシコそのものの品質を上げることに成功。
畑名の付かない高品質なキャンティ・クラシコを96年ヴィンテージからリリースしている。



そのマルコ氏が信念として掲げているのは
『グラスの先にアマの意思が伝わるワインを造ること』。
単に美味しいだけのワインであればたくさんあるが、魂を感じないワインでは意味がない。
アマの魂とはテロワールであり、そのテロワールを最大限表現し、飲み手に伝える。
それこそが自身の使命であると語った。


今まさに、そんな彼の強い想いを感じるのに相応しいワインがある。
「カステッロ・ディ・アマ キャンティ・クラシコ 2004年」。
キャンティ・クラシコという有名なD.O.C.G にありながら、
その名に頼らず自身のスタイルと品質で勝負したいという熱い想いで、
ラベルにはキャンティ・クラシコの文字よりも、ワイナリー名が大きく書かれている。



























畑の面積からいえば年間45万本造ることができるところを、
実際の生産量はその半分以下の1520万本。
これは本当に良いブドウだけを使い、
収穫量を低く抑えてワインを造っているからこそ。
更にこの2004年ヴィンテージは、
イタリア全土が天候に恵まれた文句なしのグレートヴィンテージだ。
通常のキャンティ・クラシコの概念を超越する、
10
年の熟成を経たキャンティ・クラシコとは一体どんな味わいなのか。
貫禄さえ感じる堂々たるこの1本を、心して飲んでみることにしよう。

























グラスに注ぐと透明感のあるルビー色。
10
年の熟成を経ているとは思えない程美しい輝きを放つ。
そこから溢れ出るのは赤系果実やすみれの花を思わせる華やかで複雑なアロマ。
口に含むと細やかな酸と、熟した果実味が綺麗に口中に広がり、私を心地よい余韻へと導く。
ブルゴーニュワインを思わせるような繊細さがありつつも1本芯が通っていて、
その真摯な造りに飲む程に胸が熱くなるような感銘を受ける。

『グラスの先にアマの意思が伝わるワイン』まさにその言葉が相応しい感動的な1本であった。


▼今回ご紹介したワインはこちら▼

http://www.enoteca.co.jp/online-shop2/detail.php?shohincode=0450302813A4&bunner_id=wn33