2014年2月21日金曜日

サンジョヴェーゼに魅せられた男が第二の人生を捧げた、飲む人を幸せにするブルネッロ・ディ・モンタルチーノ

「飲む人を幸せにする為に造られたワイン」
そんなワインをご存じだろうか。

サンジョヴェーゼのひとつの頂点として君臨するトスカーナの銘酒
「ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ」。

このワインに魅せられて、
第二の人生をワイン造りに捧げた造り手、
その名も「ポッジョ・ディ・ソット」。





















イタリア、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ地区南東部に位置する
カステルヌオーヴォ・デッラ・パーテ村に向かって車を進めると、
村の手前あたりからなだらかな丘陵の斜面にブドウ畑が見えてくる。







 




この一帯は南部に位置しているため雨も霧も少ない温暖地域で、
1700メートル級のアミアタ山から常に涼しい風が吹くため日較差が大きく、
ブドウにとって好条件の場所だ。

「こんな条件の良い場所にワイナリーを建てられて本当に幸せだ。」

そう語るのは、ポッジョ・ディ・ソットの創設者ピエロ・パルムッチ氏。
彼こそがワインに魅せられて、第二の人生をワイン造りに捧げた人物である。



元々世界各国で仕事をしていた彼だが、
悠々自適に過ごすリタイア後の生活を選ばず、
あえて時間も体力をも使うワイン造りへの道を選んだ。
その理由を、

「今までたくさんの素晴らしいワインを飲み、そのたびに幸せな気持ちを味わってきた。今度は私が、飲む人々を幸せにできるようなワインを造りたい。

と語っているそうだ。

そんな彼の特徴は、
徹底したワイン造りへのこだわり。
醸造はあの『カーゼ・バッセ』や『モンテヴェルティネ』も手掛け、
ブルゴーニュの「アンリ・ジャイエ」、イタリアの「ジャコモ・タキス」に
並び称されるイタリア随一の名醸造家、
故ジュリオ・ガンベッリが手掛けている。


貝の化石が含まれるガレストロと石灰から成りたつ土壌では
無農薬栽培はもちろんのこと、下草を耕すのも手作業で行い、
トラクターが近寄れないブドウの樹のすぐ側まで処理をする。
















セラーの設備においてはすべて温度管理のしやすい地下にあり、
ブドウは斜面の高低差を利用した地下1階から搬入。
発酵が終わると、重力移動システムで地下2階の熟成庫に運ばれるという
なんとも画期的なシステムを用いながらも
熟成には伝統的なスラヴォニア産の大樽を用い4年間熟成させる。















ワインに魅せられた男が、その想いを伝えたいと願い
私たちに造り出したワインとはどんなものなのだろうか。

この2007年ヴィンテージは、
2011年に惜しまれつつも引退したピエロ・パルムッチ氏と
今は亡き
ジュリオ・ガンベッリ氏、
伝説と呼ぶにふさわしい
彼らのスタイルが詰まった珠玉の1本。

期待を胸にふくらませながら、飲んでみるとしよう。



透明感をもちつつも艶のあるルビー色をしたボディからは
赤系果実やリコリス、ハーブ等の香りが溢れるように漂う。

綺麗で優しい口当たりながらもしっかりとした骨格をもち、
シルクのようにしっとりとしたタンニンに包まれた果実味が、
なんとも優雅で気品を感じる仕上がりである。

ブルネッロというと、しなやかながらも強靭な強さをもつイメージであったが、
これはブルゴーニュのピノ・ノワールにも通じる繊細さを感じる。


「飲む人を幸せにできるようなワインを造りたい」


その想いは確実に私の心に届いてきた。
今日はその想いに応えるべく、
時間をかけて存分にこの1本を愉しむことにしよう。




▼今回ご紹介したワインはこちら▼
2007年 ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ/ポッジョ・ディ・ソット
                 18,000円税抜 (18,900円税込)


2014年2月1日土曜日

情熱と天才的手法が生み出す、幻の白ワイン「モレ・サン・ドニ プルミエ・クリュ クロ・デ・モン・リュイザン・ヴィエイユ・ヴィーニュ 」

我々ワインラヴァーにとって、ワインを好きになるきっかけとは何であったろうか。

日本には昔より、日本酒や焼酎といった独自の酒文化がある上に、
世間には日本の技術を駆使した、ハイクオリティなビールが溢れている。
そこで、敢えて異国文化の象徴であるワインに惚れ込むきっかけ、
それは人それぞれにあるだろう。

私の場合、そのきっかけの一つとなったのが『ドメーヌ・ポンソ』のワインである。


















まだ、畑の名前もシャトーの名前も、グラン・クリュもプルミエ・クリュも、

ブドウの品種すら何も知らなかった頃、
初めて口にした「ドメーヌ・ポンソ」の「ブルゴーニュ・ルージュ」に感銘を受けたのだ。

ただ、ブドウから造られただけの液体が、
こんなにも様々な香りを纏い、口の中で赤系果実のスープとなって、
しなやかに喉を流れる。まるでボトルを空けたその時から、生命が吹き込まれたかのように、
生き生きと様々な変化を見せる。

そして、純粋な気持ちで「美味しい」と感じる幸福をもたらす。
この体験以来、私にとって「ドメーヌ・ポンソ」は特別な存在となった。



それから数年後、「ドメーヌ・ポンソ」のワインに私は再び衝撃を受けることとなる。

その前に、「ドメーヌ・ポンソ」とは如何なる造り手なのか、簡単に説明しておこう。

モレ・サン・ドニに本拠地を置き、1872年より続くドメーヌ・ポンソは、
クロ・ド・ラ・ロシュ最大の生産者として一目置かれる存在である。

1981年より4代目当主を務める、ローラン・ポンソ氏。
彼が最も大切にしていることは、「デリケートさ、エレガントさ、フィネスの表現」であり、
それを実践するために可能な限りの手間をかけるというのが、
ポンソのワイン造りのこだわりである。

その圧倒的な低収量、自然派ワインというジャンルが生まれるはるか前の1977年から、
科学薬品を使用せずビオロジックともビオディナミとも異なるアプローチの
自然栽培を行ってきた。この徹底した自然栽培へのこだわりは、
ルロワと並び称される、紛れもないスタードメーヌなのである。

天才的とも言える独自の手法から生み出される、驚くほどにピュアな造りのワイン。
この味わいこそが、ポンソ最大の魅力である。 






















さて、話を元に戻そう。
私が再び「ドメーヌ・ポンソ」のワインに驚かされた理由。
それは、何であったのか。

「モレ・サン・ドニ プルミエ・クリュ クロ・デ・モン・リュイザン・ヴィエイユ・ヴィーニュ 」

アリゴテ100%で造られる、幻の白ワイン。
コート・ドールで唯一、アリゴテを使うことが許されているプルミエ・クリュであり、
ドメーヌ・ポンソのモノポール(単独所有畑)である。

ポンソの当主、ローラン氏はことのほかアリゴテにご執心なことでも知られている。
かつて、シャルドネやピノ・ブランも混ぜて造られていたクロ・デ・モン・リュイザンであるが、
現在は1911年に植樹された、古樹のアリゴテのみから造られている。
















シャルドネに比べて早熟で酸味が強く、長期熟成には不向きな品種とされているアリゴテだが、
収量を抑え、ローラン氏の天才的な手法にかかれば、
これほどまでに見事なワインになるのかと、衝撃を受ける。

まさに、アリゴテの常識を覆す味わいなのだ。






















グラスに注ぐと、美しいキラキラと輝く黄金色。
アプリコットに青リンゴ、黄桃のアロマが甘く漂う。
芳醇なミネラルを思わせる豊かなアロマに、イースト香やローストナッツ、
そしてオリーヴの実のニュアンスを感じる。

口に含むと、底にしっかりとした厚みを感じるふくよかなアタックに、
キレの良い酸味を感じる。
ここで初めて、このワインがアリゴテで造られていることに気がつく。

トロみを感じさせる濃密な味わいを引き締める、見事な酸。
10年の熟成をも可能にする、ポテンシャルの高さ。
通常のアリゴテからは想像もつかない、深みある味わいは、
ドメーヌ・ポンソが手掛けるからこそ生み出される、まさに情熱と努力の賜物なのである。

いつも私にワインの面白さを教えてくれる、ドメーヌ・ポンソ。
まさに原点であり、この先も更に追い続けたくなる、憧れの存在なのである。



▼今回ご紹介したワインはこちら
2010年 モレ・サン・ドニ プルミエ・クリュ クロ・デ・モン・リュイザン・ヴィエイユ・ヴィーニュ
                             / ポンソ  14,500円(15,225円 税込)