2014年3月31日月曜日

春の訪れを愉しむ、ロマンティックなロゼ・シャンパーニュ「ルイ・ロデレール」

辺り一面雪で覆われ銀世界となっていた季節から一転、
暖かい日差しが心地よく、時間の流れが穏やかに感じる、
そんな季節が巡ってきた。

まるで、色彩を取り戻したかの如く鮮やかに彩られる春。
とりわけ、あの淡く美しい“サクラ色”に我々日本人が心動かされるのは、
日本人独特の国民性であろう。

そして、我々ワインラヴァーとしては、
‘サクラ色’、つまりは‘ロゼワイン’に、
美しい春の情景を重ねるのかもしれない。

そんな心に沸き上がる‘春が訪れた喜び’に大いに応えてくれる
ロゼシャンパーニュがある。
贅沢な仕上がりで、ロマンティックと表される
「ルイ・ロデレール ブリュット・ヴィンテージ・ロゼ」。



ルイ・ロデレールは、
今や真のワインラヴァーが愛してやまないシャンパーニュ・メゾンの一つである。
クオリティへの飽くなき追求のために利益優先の企業形態をとらず、
1776年の創業当時から2世紀にも渡り、
一貫して家族経営を続けている稀なグラン・メゾン。

醸造に必要とするブドウの7580%を自社畑からまかなっており、
シャンパーニュ地方随一の“自社畑200ha以上”を所有している。
これは、他のシャンパーニュメゾンが、
多くの買い付けのブドウを使っていることからみても、非常に例外的である。















自社畑を所有するということは、
ブドウの栽培から徹底した手入れが必要となるが、
質の良いブドウを手に入れる為に、
彼らはそこに労を惜しむことはない。

このブリュット・ヴィンテージ・ロゼは、
自社畑の中から厳選されたその年最良のブドウを使用し、
品種はピノ・ノワール66%、シャルドネ34%。
ルイ・ロデレールの代名詞である彼らの偉大なるトップキュヴェ、
クリスタル・ロゼと同じアッサンブラージュ、
クリスタルのエッセンスを感じる、なんとも贅沢な造りなのである。


先ず我々の心を惹き付けるのは、
その淡く美しい色。

ピノ・ノワールのブドウを皮ごと漬けて色を抽出し発酵させる
セニエ法という技術を使用し、
プレスをする前に約58日間かけてゆっくりと色を出す。

この製法には、濃厚で香りの強い、かつ最高のブドウが必要となる為、
アンボネイ村、ブジー村などの特級村に決して負けないピノ・ノワール造り出す、
キュミエール村の力強い味わいを生み出すブドウを使用しているそうだ。




平均4年以上の熟成の後、澱引きをして、更に6ヶ月間熟成。
こうして淡く美しいサーモンピンク色と、
しっかりしたストラクチャーとを兼ね揃えるシャンパーニュが出来上がるのだ。

ルイ・ロデレール社の副社長ミッシェル・ジャノー氏は
このシャンパーニュのことを

『とてもロマンティックで詩的である。白ワインと赤ワインを混ぜて造るロゼとは違い、セニエ法で造られるロゼは濃厚なので毎日だと飽きてしまうが、週に2回くらいは会いたい人。』
と表している。






















ロマンティックと例えられ、なんとも贅沢な仕上がりのこのシャンパーニュ。
春の麗らかな陽気に包まれながら、飲んでみるとしよう。























グラスに耳を近づけてみると、実に可愛らしいささやきが聞こえてくる。
黒スグリやブラックベリーがハチミツの様な甘い要素と共に香り、
柔らかいその甘美な芳香が、しばし時を忘れさせる。

口に含むと、細やかな泡が口の中ではじけるように舌をくすぐる。
酸味と泡の刺激が舌先から口の奥にかけて感触を与え、
喉にさっと、温かみを残し消えていく。

美しい色合い、洗練された香り、繊細な泡立ち、
その全てがバランス良く洗練され、
春の訪れを喜ぶのに相応しい高揚感をもたらす・・・

咲き誇る桜を連想させ、我々日本人の心を揺さぶるロゼ・シャンパーニュ。
今日はこのワインラヴァーを魅了して止まない、
職人のこだわりが詰まった
ロマンティックで贅沢なロゼシャンパーニュを飲みながら、
春の訪れを大いに愉しむとしよう。


▼今回ご紹介したワインはこちら▼
2008年 ルイ・ロデレール・ブリュット・ヴィンテージ・ロゼ /ルイ・ロデレール
10,000円税抜 

2014年3月10日月曜日

新たな一歩が人生を変える、情熱のワイン「カ・マルカンダ・プロミス」

異動、退職、卒業・・・別れの多い春の季節は、
同時に新たなステージに旅立つ者が多い季節でもある。
そんな季節になると、ふと頭をよぎるワインがある。
それが「カ・マルカンダ・プロミス」である。

「カ・マルカンダ」とは「長い交渉の家」の意味。
このワインを手掛けるアンジェロ・ガヤ氏は、「イタリアワインの帝王」と評される
世界で最も有名なイタリアワインメーカーの一人だが、
その帝王も大きな困難に直面したことがある。






















ピエモンテでバルバレスコの造り手としての名声をほしいままにしていたガヤ氏。
一切の妥協を許さないワイン造りが常に最高の評価を受け、
世界で最も権威あるイタリアワイン評価誌「ガンベロ・ロッソ誌」にて、
歴代で最も多くの最高評価(トレ・ビッキエリ)を獲得するという偉業を達成するなど、名実ともにイタリアワインの頂点に君臨していた。

しかし、帝王の「最高のワインを造る」という情熱は
ピエモンテだけには収まりきらず、トスカーナにも向かうことになる。
トスカーナ州・ボルゲリ地区にあったその土地は、サッシカイアなど一部のトップワイナリーにしかみられない土壌を持つ、ワイン造りに最適な土地であった。





















ガヤ氏はその素晴らしい土地に目をつけると、
すぐさま土地所有者にその売却を打診する。
しかし、所有者はなかなか首を縦には振ってくれなかったのだ。

ガヤ氏は何度も何度も足を運んで交渉するが、進展はない。
それでも諦めることなく何度もトスカーナに足を運ぶ夫を見たガヤ氏の妻は、
「またカ・マルカンダ(望みの無い交渉)に行くの?」と呆れていたという。

しかし、終わりの見えない交渉を幾度となく続けた末、
とうとうガヤ氏はその土地を譲り受けることに成功するのである。

情熱が人の心を動かした瞬間であった。

交渉回数はなんと18回。
最高のワインを追求する帝王は、妥協というものを知らない。

そしてこの素晴らしい土地を手に入れるまでの長いストーリー
「望みの無い交渉=カ・マルカンダ」が、このワイナリーの名前になった。
















1996年に手に入れた土地、カ・マルカンダ。
ガヤ氏は手中に収めた念願の土地に、
周りの景観を壊さないように低い屋根を持つ
シンプルなデザインのワイナリーを建設した。

そしてそこで生み出されるワインはリリースされるや否や世界中の称賛を浴び、
瞬く間にボルゲリを代表するワインの一つとなった。

妥協知らずの帝王、ガヤ氏は現在73歳。
なんと14歳のころからワインを嗜み、
現在も3度の食事にワインを欠かさないという。
しかし一旦ワインについて語り出すと、
大きな目を輝かせながら何時間でも熱く語るその姿は、
帝王というよりはワインが好きで仕方がない少年のようでもある。

一見強面に見えて、ことワインに関しては、
純粋で情熱的な姿を見せるところが、
ガヤ氏が我々を引きつけてやまない魅力でもある。

さて、そんなガヤ氏が、終わりの見えない交渉を繰り返してでも
手に入れたかった素晴らしい土地「カ・マルカンダ」。
そこで育ったブドウから造られるワインは一体どんな味がするのだろう。

はやる気持ちを抑え、一口飲んでみることにしよう。




ブドウは、ガヤ氏が「カ・マルカンダで必ず成功する」
と確信した品種、メルロを中心とした
メルロ55%、シラー35%、サンジョヴェーゼ10%をブレンド。

グラスに注ぐと、
凝縮した赤系果実に、ビターなチョコやタバコといった
スパイスの香りが混じる複雑かつ控え目な香りが立ち上る。
その風味はボルゲリという海沿いの温暖な地域から
想像していたものとは程遠い、スマートで洗練された印象。

一口口に含むとみずみずしい果実の凝縮した旨味が広がり、
シラー由来の、甘いスパイスを思わせる複雑で心地よい余韻が残る。

ガヤ氏のワイン造りにかける一途な情熱のように、
ピュアでみずみずしい、曇りのない味わいが実に印象的である。

そういえばこのワインの名前、PROMISはラテン語でPROMISSIOの略語で、
「必ず約束します」という意味であった。

「情熱をもって物事に向き合えば困難は乗り越えられる。」
このワインは、我々に暗にそのことを示唆しているのであろうか。

新たな人生の一歩を踏み出す春。
ガヤ氏のメッセージとともにこのワインを味わおうではないか。


▼今回ご紹介したワインはこちら▼
2010年 カ・マルカンダ・プロミス/ガヤ
4,700円税抜 (4,935円税込)