2014年4月30日水曜日

ワイン醸造と自然、そして芸術が一体となったワイナリー「ぺトラ」。

近年イタリアでは、
「ワイン醸造と自然、そして芸術の融合」という新たな文化が形成しつつある。

ワイン造りの文化と、有名建築家が設計した極めて現代的な建築作品とが
結びついた、自然とアートとの融合。

従来のワイナリーが労働と生産の場であったのに対し、
芸術作品として、企業の独自性を表現する手段として。
また、環境に配慮しながらその地域におけるワイナリーの存在感を
高めるツールとして、ワイナリーを建てる動きのことである。

その流れに乗っているワイナリーの一つが、ぺトラである。




ミラノ・スカラ座にも認められた
フランチャコルタの名門ベラヴィスタのオーナー・ファミリー
ヴィットリオ・モレッティ氏とその愛娘フランチェスカ女史が
建てたワイナリーだ。





 

ペトラの哲学は、製品の自然さや品質を通じて付加価値を生み出すこと。
彼らは、“自然であること”にこだわったワインを生み出すため、
そして周囲の環境の美しさを際立たせ、
そこで行われるワイン醸造の魅力を伝えるためのワイナリーを建てることにした。

ワインを製造する為の物理的な空間であった従来のワイナリーを
ワインがその場所と一体となってかけがえのない感動を人々に与えるような、
美しく心地良いワイナリーを。

その想いを、現代アートで有名な建築家マリオ・ボッタ氏が現実のものとした。
ワイン造りの文化と、
有名建築家が設計した極めて現代的な作品とが結びつき、
自然とデザインが融合する。
ワイン醸造と自然、そして芸術が一体となったのだ。

丘と平行に傾斜し平面で断ち切られた石の円筒形と、
側面が柱廊下になった二つの構造体とで構成された力強い印象の造形は
「ワイン醸造ともてなしのための真の建築」
という位置づけをワイナリーに与えた。
 



 
ワイン造りの工程は機械的な手段に頼らず行うため、重力の利用を考慮。
さらに熟成に関しては温度や湿度を最高のバランスに保つ為、
丘陵の内部に直接堀り抜いたスペースや地下室で行えるように設計された。
 

















そのペトラが生み出す最上のワインには、
ワイナリー名と同じ「ぺトラ」という名がついている。




















入念に区画分けされ、
その品種にあった土壌から栽培されるブドウの中から
選りすぐりのものを使用、
そして最良のブドウが出来た時しか生産しないこだわりぶり。

収穫は全て手摘みで行われ、
ブドウの重みで果実が傷まないよう小さな籠で運ばれる。

発酵は野生酵母による自然発酵、
木樽と瓶で合計36カ月という長い熟成期間があり、
ようやくリリースされるそうだ。

まさにペトラの
“自然でありながらその品質を通じて付加価値を生み出したい”想いを
形にした1本なのだ。

ワインメイキングのみではなく、
ワイナリーにまでもこだわりを持ち造られるワインとは、
一体どのようなものなのか。
期待を胸に、飲んでみるとしよう。




グラスに注ぐと、濃いガーネット色。
そこから漂う、
チョコレートやブラックベリーなどの濃密な果実の香りは
一瞬にして私を陶酔させる。
口に含むと、
豊満なボディからはきめ細やかタンニンと、
柔らかく寄り添うような適度な酸を感じ、
味わう程に奥行きが出てくる上品な果実味とハーブなどの複雑な要素。
リッチな印象ながらも、その全ての要素がバランスよくまとまり、
長い余韻をもたらす。

このワインは、
ぺトラの哲学や想い全てが現れている1本なのだ。
そう思える丁寧な仕上がりに
より一層の満足感、幸福感に私は包まれた。

今日は自然の情景を思い浮かべ、ペトラが私たちに伝えたいと願った
ワインがもたらす感動を受けながらこのワインに酔いしれるとしよう。

今回ご紹介したワインはこちら
2007年 ペトラ / ペトラ
10,000円 税抜
http://www.enoteca.co.jp/online-shop2/detail.php?codehead=&shohincode=0465045213A7&bunner_id=wn31

2014年4月11日金曜日

陽光の下で楽しむニュージーランドワイン

一口にワインラヴァーといっても色々な種類がある。

ひとつは「自分の信念を貫き通す頑固なワインラヴァー」。
たとえどんなシチュエーションでも、自分が好きなワインだけを純粋に楽しみ続けるタイプがそうだ。
自宅で家庭料理に合わせるのは毎回ボルドーというのは序の口。
例えば、合わせる料理がとびきり辛い中華であろうと、繊細な寿司であろうと、
「ボルドーの赤が好きだからそれしか飲まない」という友人がいる。

一方で「シチュエーションに合わせて柔軟に対応するワインラヴァー」もいる。
自宅のセラーには、1,000円台のチリワインから、ボルドー、ブルゴーニュの
グラン・ヴァンまで幅広く揃え、シチュエーションに応じて使い分ける。
料理によって、イタリアンにはイタリアワイン、中華にはロゼややや甘口、
和食にはドイツの白や日本ワイン、といった風に。

ワインを心から愛していることに変わりはなく、
どちらがいいとは言えない。そしてどちらのワインラヴァーも魅力的である。

今回は、普段あまりニューワールドのワインを飲まない、
頑固なワインラヴァーにこそ飲んでいただきたい1本を紹介しよう。

初夏の陽光の下で楽しむとするなら、迷わずこのワイン。
「シレーニ エステート・セレクション ザ・ストレイツ ソーヴィニヨン・ブラン」
芝生を思わせるハーブの香りが豊かなこの1本をおすすめする。

屋外でワインを楽しむ際に重要なのは「上質な白ワイン」を選ぶということ。
なぜなら、屋外で飲むと、ワインはぬるくなって輪郭がぼやけてくる。
また、外気によって繊細な味わいを感じにくくなるのだ。
そんな時には、はっきりした味わいと骨格をもつ白ワインを選ぶのがポイントなのである。
  
シレーニ・エステートは、医学書で財を成したグラハム・エイブリー氏が、
「ニュージーランドのフルーツボウル」と呼ばれるホークス・ベイに創設。
「シレーニ」とは、ローマ神話の女神シレーニに由来しているのだが、
酒の神、バッカスと同義とされる女神は、森の神でもあり、
美しく緑豊かな大地にあるワイナリーを形容するのにぴったりである。


冷涼で穏やかな気候を持つニュージーランドだが、
1日の中に四季がある」と言われるほど、昼夜の気温差が激しいのが特徴。
こうした寒暖差と日照時間の長さがブドウに十分な糖度と凝縮した風味をもたらしている。

このソーヴィニヨン・ブランは、ホークス・ベイの対岸にある島、
南島にある世界的に有名なソーヴィニヨン・ブランの名産地、
マルボロのソーヴィニヨン・ブランを100%使用している。

ソーヴィニヨン・ブランというブドウは、
日光を浴びすぎると香りが飛んでしまうため、あえて葉を多く残して栽培しているという。
ソーヴィニヨン・ブランといえば、アロマティックで青々しいフレッシュな香りが身上。
うしたこだわりが、見事な香りと酸をもつワインを生みだすのだ。





















そしてワインを醸造するのは、シレーニの美人醸造家、レイチェル女史。
微生物学のプロフェッショナルとして様々な分野で活躍した後シレーニに入社。
クリーンなワイン造りが得意なレイチェル女史は、
フレッシュな白ワインを生みだすのに長けている。





では、さっそく青空の下でワインをいただくこととしよう。
グラスに注いで光にかざすと、ワインは見事に輝くペールイエロー。
透明感のある色合いが爽やかな香りを期待させる。

グラスからはソーヴィニヨン・ブランらしい、
青々としたハーブに、トロピカルフルーツ、
熟したシトラスフルーツの香りがいっぱいに広がる。






















口に含むと、まず厚みのあるたっぷりとした果実味に圧倒される。
ただフルーティーなだけでなく、
後味にはソーヴィニヨン・ブランらしい苦みがあり、
複雑味が存分に感じられる。
もぎたての青いフルーツを思わせるみずみずしさが、
いくらでもおかわりをしたくなる味わいだ。

ここからがこのワインの真骨頂。
グラスの中の温度が上がるにつれ、果実味がどんどんまるくなり、
甘みのあるトロピカルフルーツの味わいが引き立ってくる。

ニュージーランドの夏の気候は、25℃前後。
もっと涼しいことも多く、ちょうど日本の初夏の気候とよく似ている。

そんな気持ちの良い季節にこのワインを飲んでいると、
ニュージーランドの緑豊かな自然の中で飲んでいるような
気分になってくる。

頑固なワインラヴァーも 、
青空の下でこんなワインを飲んだら笑顔になるに違いない。

今回ご紹介したワインはこちら
2012年 エステート・セレクション・ザ・ストレイツ・ソーヴィニヨン・ブラン /シレーニ・エステート
2,800円税抜